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「何だか、気の毒ねぇ」
「応援したくなるっす」
「出会う順番が違ったら、誰もが祝福できる純愛だったのに…」
打って変わって同情的な感想を述べる三人に続いて、満を持したように倫音が唱える。
「一方的に受け取る情報で、人は簡単に敵になったり味方になったりします。真実は、当事者にしか分からないというのに」
静まり返った空気を破るように大きく息を吸い込むと、「ですので!」と倫音は宣言した。
「今後一切、不倫案件に関わることを止めます」
「ついに、ハンター廃業か…。天崎さん、お疲れ様」
振り返れば、自分も調査対象の一人だったのだ。最初は反発もしたけれど、倫音が関わったお陰で今の幸せがあると言っても過言ではない。
「普通の女の子に戻るのね。キャンディーズみたいに…はい、誰も知りませんでした、と」
恵子なりに労いの言葉をかけたつもりだったが、場違いだったと気づき、すぐにフェイドアウトさせた。
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