初恋未満

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 新しいクラスの席順は廊下側の一番前が出席番号1番だった。私はラストから二番目。窓側で後から二つ目の席、前には矢野くん。  目の前の、矢野くんのスポーツマンらしい鍛えられた背中に、ただただドキドキするばかりだった。  始業式から数日、みんな少しずつ新しいクラスにも慣れて来た頃から、矢野くんが後を振り返る事が多くなった。 「吉池、ゴメン、消しゴム貸して。」  とか、 「今やってるとこ何ページ?」 とか、いつもちょっとした事で。  矢野くんが回すプリントを受け取るだけでも緊張するのに、こんなに頻繁に振り返られたら、私の心臓は大丈夫かなって心配になる位。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加