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夏が近づくと今でも夢に見る。
あの初夏の風が吹き始めた日のことを。
どうしようもなくありふれていた日々を。
懐かしいからとか、戻りたいからとかじゃないんだ。
きっとこれは戒めだ。
あの日を決して忘れないように。
あいつの存在を消してしまわないように
僕が覚えていなければならないんだ。
これは夏の前日譚。
あの日を境に、日常は。
ありふれて、楽しくて、鮮やかに彩られた僕らの日常は。
驚くほど急展開に、前触れもなく、あっけなく、あっさりと。
死んだ。
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