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「…好子さん…お酒を…」
「…そう…飲まなきゃ、やってられないというか…」
寂しそうに笑った。
たしかに、好子の気持ちはわかる…
いかに、お金持ちとはいえ、世間的には、無名の人間が、堂々と、週刊誌に、不倫をすっぱ抜かれたのだ…
不倫が事実であれ、事実でないであれ、世間的には、事実と受け取られる…
それで、ショックを受けない人間など、存在しない…
おそらく、好子は、この豪邸の、大きな自分の部屋にとじこもり、酒に浸って、自分の置かれた現実を忘れようとしているのでは?
と、思った。
「…好子さんは、水野さんが好きなんですね…」
私は単刀直入に言った。
私の言葉に、好子の顔が引きつった。
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