好子の憂鬱

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 「…なにを言ってるの? 高見さん…私は酔っ払ってるフリじゃなく、たしかに酔っ払ってるわ…」  「…いいえ、好子さんが、私にそう思わせてるだけです…好子さんは、たしかに、お酒をお召しになっていますが、見かけほど、酔っ払ってるわけじゃありません…」  私は、言った。  ずばり、言い切った。  本当のところは、わからない…  大げさに言えば、カマをかけたといったところか…  私の指摘に好子が沈黙する。  「…高見さん…アナタ、鋭いわ…」  好子が笑った。  「…私が酔っ払って、酒を勧めれば、アナタがどう出るか、試したけど…」  そう言って、笑った。
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