第3章 貴史と再び

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第3章 貴史と再び

可南子は二人分のお茶を入れながら… 前園貴史が話始めるのを待った…。 「パンってさあ…同じように生地を練って 同じように窯で焼いても… 同じパンが出来るとは限らないんだよ。」 《何だ……またパンの話しか…。》 「それで…いろいろ試してみたんだよ。 気温…湿度…火加減とかね……。 それで100個……1000個と焼いてみると、 表面の色艶…焦げ具合が皆違う…。 でも…そこには法則がある…。」 可南子には興味の無いパンの話だが… 聞き始めると最後まで聞きたいほうだ。 「機械でも…Aのスイッチを押せばドアが開くが、 Bのスイッチを押すと中身が飛び出るとか… 世の中は法則通り、 パン屋のパンも職人の技術次第で… 美味しくもなり、不味くもなる。」 可南子も…そろそろ結論が聞きたくなっている。 「カナちゃんとさ……俺がさ…… お互いのパンを…上手く焼けるのか…? もっと違う相手と 上手くやれるのか…? っていうのを…話し合ってみたいんだよ。」 「私のパンを…? 貴史のパンを…?」 「うん……そうそう…。」 貴史は、そう言いながら可南子をハグしてみた。 「お試し…?」 そう言う可南子の唇を奪う…。 それからは…可南子からハグをし… 可南子からキスをしてみた。 「どう…?」 「舐めるだけじゃあ… 分からないみたい……。」 「じゃあ……食べてみる…?」 貴史はソファーに座って可南子を抱き寄せた。 可南子は傷つくのを覚悟で貴史に身を任せた。
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