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女店員
「有り難うございました。
またのお越しをお待ちしております。」
《ふん! 二度と来るか! 泥棒猫め!》
可南子は、すこぶる不機嫌になった。
高峰
「師長が取る行動って読めないわ……。
一日くらい後を付けても何も分からないかもね。
もう帰ろうか?」
大竹
「そうね…。 探偵まがいの事をしても私達じゃあ…
何も掴(つか)めないわね、きっと。
探偵って…ホント大変だと思うわ。
ある時は蚊に喰われて張り込みだとかさ。
あ~、痒いわ、刺されたみたい。」
可南子はムシャクシャすると…
あのスナックへ行く…。
「友野さん…いつもの…。」
友野
「はい…とうぞ、ゆっくりしていってください。」
何かを感じてか……友野は可南子を放置してくれる。
そこへ……インターンの吉川 昇君の登場だ…。
「荒神師長さん…お世話様です。有り難うございます。」
可南子
「ああ…ここは仕事場じゃないから硬い挨拶は無しにして…。」
「分かりました。可南子さん…。」
可南子は昇から『可南子さん』と呼ばれたのが
少し気恥ずかしかった…。
以前なら『よしてよ…。 こんなオバサン掴まえて -可南子さん だなんて…。』と言う処だが、
少し前から『少し言葉を慎もう』と決心していた。
「吉川さんはお酒は何を召し上がるの…?」
吉川 昇
「はい、ウイスキーをロックで…。」
「じゃあ…今日は私の奢りよ…。」
「有り難うございます、貧乏学生なので助かります。」
昇はそう言って少し笑顔を見せた。
「グラスを傾ける姿が決まってるわ。
貴方……俳優とかモデルとかに転向してもイケるんじゃない…。」
「可南子さんと話してると…何か癒されるんですよね~☆」
《あら…貴方…もう酔ったんじゃないの?》
と思わず言いそうに成ったが可南子は堪えた。
「あら…私も貴方のようなタイプ…嫌いじゃないわ。」
「僕って女性に甘えたいほうなんで…
可南子さんと親しくしていただけると嬉しいです。」
《アンタ、そんな事言ってると、このオババに持ち帰りされちゃうわよ》
と可南子は思わず口にしそうになった。
可南子
「ねえ、週末ドライブでも付き合わない?
ちょっと気晴らししたいんだ。」
「良いですよ…可南子さんとドライブなんて夢みたいです。」
こういう会話を昇としていると、可南子は歳を忘れる事が出来た。
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