第2章 昇(のぼる)との再会

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吉川 昇は…荒神可南子が仕事に出てくるのを待ち切れず… 書いた手紙を可南子のアパートに持って行った。 《ピンポーン》 可南子は昇かも知れないと思うと居留守を使うしか無かった。 ドアの郵便受けに昇が手紙を入れると… しばらく時間を置いて… 可南子は、その手紙を手に取った。 封を切って、一通り目を通すと… 「まあ……良い子ねえ…。」 と言葉が出た。 《取り敢えず元の関係に戻れたかな…。 でも、こんな事ならドライブなんて 誘わなきゃ良かったかしら……。 でも食事をしても… 何をしても…結果は同じだったろう…。》 そう結論付けて… 《月曜日からは出勤しよう!》 と決めて…詰所にも連絡を入れた。 明けて月曜日… 荒神可南子は普段通り…看護師に指示を出した。 患者の動向は全てサブリーダーから報告を受けていた。 看護師の高峰 「荒神師長さん…なんかスッキリしたみたい…。 ほら、晴れ晴れした顔をしてるでしょ。」 看護師の大竹 「本当ね…。 私達の苦労は何だったんだろうね…。」 高峰 「ボヤかない…ボヤかない…。 私は師長がシャキッとしてると… 私まで背筋がピーンとなって良い感じよ。」 大竹 「それって…超~建設的~☆ 師長のご機嫌取ろうと思ってるんじゃないの…?」 大竹はやっと背後に荒神師長がいる事に気がついた。 大竹 「ああ~師長さん、もうお加減は良ろしいんですか? ハハハ…。」 可南子 「人の噂話ばかりしてないで… 早く検温で廻って来なさい…。」 高峰・大竹 「は~い☆」 吉川 昇 「あっ…荒神師長さん、410号室の室井さんなんですが…薬はリンデロンかリドメックスのどちらが良いと想われますか?」 荒神 「そうねえ…室井さんは皮膚が弱いからねえ… マイルドなリドメックスが良いんじゃない? でも、それって主任ドクターの春木先生からの宿題でしょう? 私に聞いて…大丈夫?」 吉川 「はい、春木先生は誰かに聞いてはイケないとは言われなかったし… やはり患者さんの状態を一番知っているのは 患者さんと いつも接している看護師…師長さんに聞くのが一番だと思ったんです。」 荒神 「そう…そこまで考えての質問なら歓迎だわ。 だって、春木先生に後で叱られるのは… お互い嫌でしょう。」 吉川 「荒神師長さん、今夜ご一緒に…あのスナック どうですか…?」 荒神 「ええ…いつものスナックなら良いわ。」
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