第2章 昇(のぼる)との再会

6/6
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
荒神可南子は…その夜 行きつけのスナックへ 足を運んだ…。 友野 「いらっしゃいませ…。 お連れの方がお待ちかねですよ…。」 そう聞いてカウンターを見て… 可南子は少し驚いた。 約束した吉川 昇では無くて… 可南子の中では、もう関係が終わったと思っていた…前園貴史である。 「やあ…いつか会えると思って、 何度か足を運んでいたんだ…。」 可南子は…そう言う貴史を見て、 何か怒りを感じてしまうのだった。 「私よりパン屋が大切で… そこのパン屋には私に挑戦的な態度を見せる女性がいる…。 何か…今さらっていう気がするんだけど… 何を思って私に会いに来たと言うの…?」 貴史は少し困った顔をした。 「可南子の事だからパン屋の事は理解してくれたと思ったんだが……それからパン屋の女性っていうのは柴崎愛子の事だと思うんだけど… あれは俺の姪子にあたる……。」 「姪子さん…?」 可南子は考えが少し混乱してきた…。 貴史 「ああ…まだ彼氏がいなかったらしく… 俺を買い物に付き合わせては 小遣いをせびってね……。 いつまで経っても甘えん坊さ…。 そんな彼女にも最近彼氏が出来た らしいが…。」 「そんなの……反則だよ…。 可南子の勘違いなの?」 可南子は溢れる涙を見られるのが嫌で… しばらくカウンターに突っ伏していた…。 「今日は帰るわ……。  何だか空回りしてたのは私だけみたい…。 あ…それから20代の男の子が私を尋ねて来ると思うけど…風邪がぶり返したと言っといて。」 《今日は金曜日… 土曜…日曜で元気を取り戻そう……。》 そう決めて可南子は店を出た。 店を出てタクシーを拾った処で… 前園貴史が追いかけて来た…。 「あのさあ……自分で納得するだけじゃなくて… 俺の話も聞いてくれよ。」 可南子は吉川昇が店のほうへ歩いて行くのを見て… タクシーに急いで乗り…貴史もタクシーに乗り込んできた…。 「丁度良いわ……貴史の言い分を聞きましょう。」 貴史は、色恋沙汰の話なので… 運転手に気兼ねして 、 ちゃんと話が出来たのは… 可南子のアパートに着いてからだった。 「まあ…お茶でも飲んで行けば…。」 可南子は気の無い言い方になってしまった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!