第1章 トキメキ

6/8
前へ
/16ページ
次へ
ある週末…… 土曜日から日曜日にかけて… 可南子は休みだった。 朝から…というか… 華金の夕方から…暇だった。 何もする事が無い…… それに…何もする気に成れなかった。 突然、貴史が目の前に現れて… 『私…貴方をずっと待ってたの…。』 と言ったまでは良かったのだが… 『冷やかしなら…よして頂戴…。』 と…何故言ってしまったのだろう…? 少し【引っ掛かる事】があったとしても 黙って貴史に抱かれておけば良かった…… そうすれば…今頃… もしかしたら貴史とハッピーエンドを迎えられたかも知れない。 「………………………!」 《そうだ! 貴史に謝ろう。 そして少々意に沿わない事があっても我慢しよう。》 アラフォー女は決意した! それからというもの…荒神可南子は別人のように優しくなった。 仕事上でも… 「いったい荒神師長に何が有ったのかしら?」 と噂(うわさ)されるほど優しくなった。 高齢の患者さんからも… 「是非とも…うちの息子の嫁に…。」 との声が多数上がった。 その頃から…誰も荒神師長の事を悪く言う人は居なくなった。 益々…ドクターからはデートのお誘いが多くなった。 ある日、可南子は意を決して… 貴史に連絡を取った…。 そして貴史は可南子と約束した場所に来た。 可南子 「この間は…ゴメンね…。」 貴史 「ああ…こちらこそ…。」 しばらく沈黙が続いた。 可南子は《あれっ…? 貴史って こんなに無口だったかな…?》と思った。 《「こちらこそ…」と言いながら、まだ怒ってるのかな? やっぱり二人の関係を一からやり直さないと いけないのかな…?》 可南子は沈黙している間に色々考えを巡らせた。 《でも、待てよ。この沈黙は何なんだろう? さては貴史に女が出来たか? 「もう会わない事にしよう」と言ってくるのか?》 《それとも、既に私との結婚を考えて、今からプロポーズをしようと待ち構えているのか?》 《それとも……?》 可南子が、そこまで考えた処で… 貴史が話し始めた…。 「俺さあ……仕事辞めたんだ…。」 「そう…何か有ったの…?」 あんなに仕事一筋に頑張っていた貴史に… 何が有ったのだろう…と可南子は思った。 「辞めてパン屋に成ろうと思うんだ。」 貴史は目を輝かせて…そう言った。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加