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第2章 昇(のぼる)との再会
東都(とうと)大学病院……
それが荒神可南子が勤務する病院だ。
可南子が指示を出す皮膚科病棟だけでも
ベッド数は150床を数えるマンモス病院…。
スナックで出逢った3日後に…
可南子は吉川 昇に…その病院で再会した。
可南子が主にデスクを使う…第401詰所で、
主任ドクターの春木から吉川 昇インターン(ドクターの)が紹介された。
可南子
「吉川インターン…ヨロシクね…。」
吉川
「ああ~荒神師長さん、こちらこそヨロシクお願いします…。 先日は…どうも。」
看護師の高峰
「ちょっと…荒神師長と、あの吉川インターンって…お安く無い感じじゃない…?」
看護師の大竹
「ええ…あれは、どう見ても他人の関係では無いわね…。」
高峰
「師長ったら…ドクターからはデートに誘われるし…
あんな若いインターンとも顔見知りみたいだし……
神様は不公平だわ…。」
大竹
「荒神師長のプライベートって…
どうなってるのかなあ? 興味あるわあ…。」
高峰
「あなた…もう羨望を通り越して、好奇心の領域に入ってるわね…。」
大竹
「今夜…こっそり荒神師長の行動をチェックしてみよう!」
高峰
「マジで…? 私も…じゃあ付いていくわよ。」
看護師の高峰と大竹は…
荒神師長の帰宅する後を付けて行った。
荒神可南子は前園貴史のパン屋のオープンが…
今日なので、お祝いの花束を買って原宿に向かった。
高峰
「あらあ…師長さんったら花束を持って原宿なんて…
益々興味そそるわぁ…。」
大竹
「花束を渡す相手が男か…女かだなあ。」
可南子は前園から聞いた店の名前を確認するとパン屋の店内に入って行った。
「貴史さん…お店のオープンおめでとう。
繁盛しますように…。」
前園貴史
「ああ…カナちゃん、お祝い有り難う。
嬉しいよ。 色々自信作有るから…
ゆっくり見て行ってよ…。」
貴史が奥の工房へ入ると、入れ替わりに
少し小洒落た30代の女店員がカウンターに立った。
その店員は可南子を見ると…
少し目を丸くして話しかけてきた。
「社長(前園貴史)と一緒に写真に写っていた方ですね…。」
可南子は…その一言で、店員と貴史との関係を察した。
《こんな女が居ながら…貴史は私と関係を結ぼうとしたのかしら……。》
そう思うと…可南子の中に静かな怒りが湧いてきた。
「すみません、社長に『可愛い店員さんですね。おめでとう。』とお伝え願えますか?」
それを聞いた…その店員も
「分かりました。伝えます…。
今日はオープンのお祝いにワザワザ来ていただいて有り難うございました。
お気を付けてお帰りください。」
と丁寧な挨拶をした。
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