第1章 トキメキ

1/8
前へ
/16ページ
次へ

第1章 トキメキ

荒神 可南子は…… 40代のキャリア看護師。 … 大学病院の皮膚科病棟を任される優秀な師長だ。 可南子 「高峰さん、404号室の佐々木さんは抗ウイルスのお薬出しといてね。あと、408号室の藤山さんは軟膏ね。」 そこへ医師の小林が割り込んで来た。 小林 「401号の横山さんの経過どう? 407号の山上さんは?」 可南子 「はい、横山さんも山上さんも順調です。 さすが先生の見立てに狂いはありませんわ。」 小林 「そうか、それは良かった。 で……カナちゃん、今夜どう?」 可南子 「先生、詰所でのデートの申し込みはご遠慮ください。看護師に示しが着きません。」 小林 「ああ…これは失礼。 では別の機会に。」 看護師の高峰 「師長さんは美人で良いなあ。 医者からデートに誘われるなんて羨ましいよ。」 看護師の大竹 「そういう高峰さんはどうなのよ?」 高峰 「私なんてさ、何の取り柄も無いからね、 声を掛けてくる男なんて居ないよ…。」 大竹 「そうかなあ…蓼食う虫も好き好きって 言うけどね~☆」 高峰 「アンタ! それって私が…よっぽどブスって事?!!」 大竹 「いやいや、そうじゃなくて……。ハハハ……。」 高峰 「ハハハ…じゃ無いわよ!」 可南子はその夜… 行きつけのスナックで呑んでいた…。 バーテンの友野 「可南子さん…今日は少しナーバスになってます?」 可南子 「ん……そんな積もりじゃ無いんだけどね。 看護師として頑張ってきてさ…… 気が付いたら40よ…。 田舎の親は『まだ結婚しないのか?』って そればっかりで……なんかさあ、嫌になっちゃうよね。」 友野 「でも……これまでに良い事もあったんじゃ ないですか?」 可南子 「ああ……そうねえ、良い事と言ったら 3年前に恋をして…… 幸せだったなあ……半年付き合って別れたから 結婚には至らなかったん だけどね。 貴史~☆元気かなあ?」 友野 「いらないお節介だと思うんですけど…… 今日は少しお酒のペースが早いですね。 でも…どうして別れちゃったんですか?」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加