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第1章 トキメキ
荒神 可南子は…… 40代のキャリア看護師。
… 大学病院の皮膚科病棟を任される優秀な師長だ。
可南子
「高峰さん、404号室の佐々木さんは抗ウイルスのお薬出しといてね。あと、408号室の藤山さんは軟膏ね。」
そこへ医師の小林が割り込んで来た。
小林
「401号の横山さんの経過どう? 407号の山上さんは?」
可南子
「はい、横山さんも山上さんも順調です。
さすが先生の見立てに狂いはありませんわ。」
小林
「そうか、それは良かった。
で……カナちゃん、今夜どう?」
可南子
「先生、詰所でのデートの申し込みはご遠慮ください。看護師に示しが着きません。」
小林
「ああ…これは失礼。 では別の機会に。」
看護師の高峰
「師長さんは美人で良いなあ。 医者からデートに誘われるなんて羨ましいよ。」
看護師の大竹
「そういう高峰さんはどうなのよ?」
高峰
「私なんてさ、何の取り柄も無いからね、
声を掛けてくる男なんて居ないよ…。」
大竹
「そうかなあ…蓼食う虫も好き好きって
言うけどね~☆」
高峰
「アンタ! それって私が…よっぽどブスって事?!!」
大竹
「いやいや、そうじゃなくて……。ハハハ……。」
高峰
「ハハハ…じゃ無いわよ!」
可南子はその夜…
行きつけのスナックで呑んでいた…。
バーテンの友野
「可南子さん…今日は少しナーバスになってます?」
可南子
「ん……そんな積もりじゃ無いんだけどね。
看護師として頑張ってきてさ……
気が付いたら40よ…。
田舎の親は『まだ結婚しないのか?』って
そればっかりで……なんかさあ、嫌になっちゃうよね。」
友野
「でも……これまでに良い事もあったんじゃ ないですか?」
可南子
「ああ……そうねえ、良い事と言ったら
3年前に恋をして……
幸せだったなあ……半年付き合って別れたから
結婚には至らなかったん だけどね。
貴史~☆元気かなあ?」
友野
「いらないお節介だと思うんですけど……
今日は少しお酒のペースが早いですね。
でも…どうして別れちゃったんですか?」
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