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「え?
今、お前の好きにしていいって――」
「却下だ」
うーむ。
悩む必要はなかったようだな……。
っていうか、あのイケメンスタッフの佐野さんは、別に私に気などないと思いますが……と思うのどかの手を引き、貴弘は歩き出す。
「よし、決まりだ。
式は来週の日曜日、此処でやろう」
「……あのー、さっき、このまま永遠に式挙げないのもラブラブでいいとか言ってませんでしたっけ?」
「いや、やっぱり早く挙げとかないと。
他の男に持ってかれたりしたら困るからな」
……すみません。
そんな心配していただけるほど、私、モテません、
と思いながらも、強引に手を引いて歩く貴弘がちょっと嬉しく、もう反論せずにのどかは俯いた。
「早く来いっ。
ラーメン伸びるだろっ。
そうだ。
お前らの式、此処で焚き火を囲んでやれよ」
「じゃあ、料理は雑炊か、ラーメンで」
「酒さえあれば、あとは別にいいな」
と綾太と中原と八神が言うのが聞こえてきた。
青田は苦笑いし、泰親はそもそも式に興味ないようで、ミヌエットに背に乗られながら、焚き火を枝でつついている。
ひーっ。
私の夢の結婚式が、どんどん勝手に決まってくんですけどーっ、と思いながらも、のどかは騒がしい連中のいる焚き火台に向かい、歩いていった。
完
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