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「花占いか。
それもいいんじゃないか?」
えっ?
と貴弘の言葉にのどかは振り向いた。
夕食後、寮の方の庭で、みんなで焚き火をして、珈琲でも沸かそうという話になり、外に出たとき、貴弘がそう言ってきたのだ。
昼間の風子の話をしたせいだ。
「目を閉じて歩いて、つかんだ花で占ってみろ」
「でもそれ、何処に花のついた雑草があるかわかりませんよね?」
「大丈夫だ。
俺が手を引いてやるから」
「えっ、でも……」
とあまり光の当たらない庭の片隅で手を握られ、揉めていると、綾太が、
「そこっ、いちゃつくなっ。
火をおこせーっ」
と庭の真ん中に置いた焚き火台のところから叫んでくる。
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