第一部 生物実験室の彼女

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 彼女は興奮に輝かせた目を伏せて、ひとりごちる。 「教科書とか、読んでて、思う。……温暖化とか、環境汚染とか……たくさんの生き物が、絶滅危惧種って言われて、でも、しぶとく生き残っている種類ももちろんいて。……私はそっちに、なりたい。隕石が地球を砕いたら、どうにもならないのかもしれないけど、暑かったり、寒かったり、そういう自分とは関係ないことで殺されないくらい強い方になりたい」 「強いね、長良ちゃんは」 「強くいたい。弱くて我慢ばかりしてたら、図々しい人たちに喜ばれるだけでしょ。……喜ばせたくない」 「あまのじゃく。かわいい」 「三日前に、バスケ部顧問から電話ありました。うちに」  声のトーンそのままで、彼女は言った。寛子はばれないように固唾を呑んだ。 「その電話で、部活行ってなかったこと、親にバレました。で、今日の一時限潰して、臨時学級会。もう……きまっず……」
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