第二部 くびながりゅうのみやこへ

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 ――疲れた。投げ出したい。全部。  それができる相手は、目の前の元後輩だけだった。  ――それを愛というのなら。  言わない。言うわけがない。ただの生存戦略だった。世間とやらの言うことに、うまく騙されたことなんて、一度もなかった。 「せんぱい、」  だめ押しの言葉に、寛子は頷く。  恋は本能などではない。人間の本能と言えるかもしれない、身体実感を伴う症状は、このどうしようもない、ひとりでいるだけで不安になる、さびしさだけだ。そう思いながら。 第二部 「くびながりゅうのみやこへ」 了
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