No.16  7月6日   悲哀感

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No.16  7月6日   悲哀感

 昼間、近所に住む女友達に偶然会った。  友達は私と同じシングルだが私よりも6歳上で子供2人はもう成人して就職しているので子育ての手が空いた分、彼氏と旅行したりしていつも楽しそうにしていた。  「彼氏と別れちゃったんだよね。」 と寂しそうに友達は言った。ちょっと驚いた。2人は長年付き合っていたので、てっきり再婚するとばかり思っていたのだ。  「なんで別れちゃったの?」 私の問いに友達は 「彼氏のお父さんの具合があんまり良くなくて、お母さんが一人で大変そうだから親の介護するんだって。」  介護か……  ふーん……  「そうなんだ、結婚しちゃえばいいのに。」 と軽く言うと 「いや、姑と一緒に暮らしたことないからさー、うまくいかなかったりしたら嫌だし。彼氏からも、そんな話出なかったから。」  ちょっと目を赤くした友達は寂しそうだった。  私も離婚後に付き合った男がいたが、正直結婚は全く考えなかった。その男と3年付き合って、段々結婚を匂わせて来た頃に、これはマズイと思い、別れた。修羅場にはならなかったが、その男は別れても何年も連絡を寄越し続けるので辟易したものだ。  ただ、子供達を私の勝手で振り回してしまったので申し訳なかったと思い、それからは誰とも付き合わないようにした。  未婚だろうがバツイチだろうが、異性との付き合いというのは大なり小なりリスクが伴う。どうにか折り合いをつけながら付き合いというものを日々の生活に織り込まなければならない。  私はそういう生活が面倒だし、2つのことを同時進行できるほど器用ではないことに気づいたので、そういうことからさっさと手を退いた。  しかし、いつも気丈な友達が哀しみに暮れているのを見るのは切ない。  近いうちにゴハンでも誘おうかと思う。
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