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ほんと、いつも賑やかで明るい人だなぁ。武田くんって。
ていうか、バスケ部の朝練、中止になったんだ。だから、この時間に登校してたんだね。雪夜。
……なぁんて、呑気に納得してる場合じゃない!
このままだと、計画が台無しになっちゃう。なんとかしなくちゃ。
どうする? どうやって、誤魔化せばいい? ああぁ、焦るーっ。
「なぁ、お前ら。正門に行かねぇの? 今日は、城址公園側の裏門は閉めてるんだぞ? 忘れたのか?」
どうやって雪夜と別行動を取ろうかと頭を悩ませ、思考を巡らせる最中、正門に続く道を親指で指した武田くんが疑問を向けてきた。
「いや、覚えてるよ。雪が降った後は坂道が滑りやすいから、公園を通り抜ける通学路は使用禁止だろ?」
「おう、それそれ! その通りだよ。さっすが、常陸。的確な説明だぜ。
ってことでさぁ。さみぃし、お前らもそろそろ行こうぜっ」
おおぅ! 武田くん、ナイスっ!
雪夜の背中をバンバン叩いて、正門へと促してくれてる!
そうそう、そのまま一気に学校まで連れてっちゃって!
「あー、武田? 悪いけどさ、俺は智穂と一緒に行くから、先に行っといてくれよ」
えぇっ? 駄目、駄目! それは、無理!
「あ、そうなん? んじゃあ、お先にー」
ちょっ! 待って、武田くん。雪夜も一緒に連れてってぇー!
「なぁんて、言うワケねーじゃん! 朝練は中止だけど、ミーティングはあるじゃんか!
ホレ、行くぞ、常陸。ミーティングに遅れたりしてみろ。あの悪魔に、おっそろしい目に遭わされるんだかんな!」
あぁぁ、武田くぅーん。
君は、神か? それとも天使っ?
「ホレホレッ、急げ! 鬼の副部長・高階は、悪魔の中の悪代官なんだぜ。怒らせたら、めちゃヤベーんだぞ!
あと、部長のマイラブ土岐に迷惑かけるから、恥骨……違った、遅刻は厳禁だ!」
ありがとう、武田くん。マジ、天使。
雪夜の両肩をガシッと掴み、強引に連れ去ってくれた背中に両手を合わせて拝んだ。
大天使タケエル様。言ってるコトは全然理解出来ないけど、とにかくグッジョブ。
さぁて、気を取り直して、秘密のミッション開始っ!
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