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「いいなぁ、海。ちほりん、うらやまー。ママも海デート、行きたーい」
「お母さん、海デートじゃないよ? 三年に一度しかない『海辺の奇祭』に雪夜たち、幼なじみメンバーと行くだけだよ」
「違うの? でも、ちほりんは可愛いから逆ナンとか、あるよね。ママ、心配っ。
ねぇ、ゆっきん。ちほりんをギラギラした女子や、むさ苦しい男どもの魔の手から、きっちり守ってね」
「はい、お任せを!」
もちろんだ。男も女も、俺以外のヤツは絶対に近づけさせねぇ!
つか、真由里さん。相変わらずの息子溺愛だな。
「もう、お母さんの発言、恥ずかしいよ。雪夜、行こ? 行ってきます」
「おう。じゃあ、真由里さん、行ってきます」
「気をつけてね。いってらっしゃーい」
真由里さんに手を振り返してから、ぷくっと頬を膨らませた可愛すぎる智穂を追いかけ、一緒にエレベーターに乗り込んだ。
「雪夜? いつも言ってるけど、お母さんのノリに無理につき合わなくていいんだよ? 疲れるでしょ?」
「あ? 別に無理してない。それよか、荷物持ってやるよ。貸しな」
下唇を突き出してんの、堪らん可愛い!
出来るなら、ぎゅってしたい! 俺の胸に押しつけてグリグリしてぇ!
そんな不埒な思いをクール仮面の下に隠し、智穂のバッグを取り上げた。
そのついでに肩に手をかけ、そっと囁きを落とす。
「二日間、思いっきり楽しもうな? 思い出に残る、いい夏休みにしよう」
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