夏だから…っていう、言い訳。

7/23
前へ
/75ページ
次へ
「ひゃっほう、海だぁ!」 「武田! 馬鹿、いきなり走るな。危ないだろうが」 「えー? 駅を出たら、もう真ん前が海なんだぜ? テンション上がるに決まってんじゃん。ほら、土岐も早く早くっ」 「だからと言って、駅のホームで駆け出すな。他の乗客の迷惑になるだろう。馬鹿たれ」 「う……ご、ごめん。俺、土岐とラブラブバカンス……あ、いや、夏休み旅行とか、めちゃ嬉しすぎて、つい……気をつけます」 「わかれば良い。あと、いちいち訂正する必要はない。ラブラブバカンスで、胸張ってろ」 「えっ、いいの? 堂々とラブラブバカンスで、いいのっ? やべっ。俺、鼻血出そう」 「ふっ、馬鹿だな。鼻血出したら遊泳禁止だぞ。だから、慌てずゆっくり歩け」 「うんっ、わっかりました!」  ふむふむ。土岐と武田は、ひたすら甘える馬鹿ワンコ・武田に、一見素っ気ない土岐がドS顔で甘く笑うパターン、てわけだな。 「郁水(いくみ)? お前、まだ眠いんじゃないか? 現地まで背負っていってやろうか?」 「ん、頼む」 「しっかり掴まってろよ?」 「基矢(もとや)……おやすみ」  高階、また寝たぞ。おい! 一色におんぶされて、ソッコーで!  ほ、ほぅ。一色と高階は、ひたすら甘やかす一色と、それを当たり前のように受け入れる女王様・高階ってパターンだな。  ……ん? はっ! 何やってんだ、俺。コイツらのリサーチしても、何の参考にもならねぇじゃん。  智穂は馬鹿ワンコでも、高飛車な女王様でもねぇんだよ!
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

220人が本棚に入れています
本棚に追加