220人が本棚に入れています
本棚に追加
で、肝心の俺と智穂は、といえば――。
「雪夜? 顔色悪いけど寝不足?」
「いや全然。バッチリ8時間睡眠だ」
「そう? 体調悪そうに見えるよ?」
本当は一睡もしてない。楽しみすぎて。
智穂としたいアレコレをメモして妄想してたら朝になってた、なんて言えねぇもんな。つか、既にひとつヤり残したぜ。
【もし智穂が電車で居眠りしたら、俺も寝たフリして、くっついて頬ずりする】
コレ、ヤッてねぇ!
だってさ、智穂のヤツ、俺じゃなくて武田のほうにばっか身体を傾けていってたんだ。悔しいことに。
それを支えるのに必死で、寝る暇なんて一切なかった。くそっ、既にひとつ挫折だ。
「ねぇ、雪夜。ちょっと屈んでくれない?」
「あ? こうか?」
智穂が人差し指をクイクイっと曲げて、俺に屈むようにジェスチャーしてきた。可愛い仕草だな、おい!
「まだ高いよ。もっと屈んで?」
少し屈んで智穂の顔を覗き込めば、首を傾げて『もっと』とねだられた。おねだりも可愛いな、おい!
「これくらいか? えっ?」
「わっ、めちゃめちゃ熱いよ? ねぇ、大丈夫?」
「お、おまっ。何してんだっ」
「んー? 熱測ってるんだよ。雪夜、顔色悪いのにキョロキョロしては変な表情してるから、絶対に熱あると思って」
馬鹿たれ。お前にドキドキして頬が熱いんだよ。
つか、何、しれっと頬ずりしてきてんだ。お前から!
嗚呼! 俺の【夏恋計画表その①・頬ずり】
不可抗力の逆パターンにて、達成!
甚だ不本意だけど、嬉しいぜっ。
最初のコメントを投稿しよう!