【起】cloudburst

1/3
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

【起】cloudburst

──ポツリ。 不意の雨に、僕は空を見上げる。 垂れ篭める鈍色(にびいろ)の雲。 轟く遠雷が、気圧の急な変化を告げる。 大きな雨粒が、頬を額を打ち…やがて、篠突く雨に変わった。曇天から無数に産み落とされるそれ等が、乾いたアスファルトを濡らしてゆく。 雨特有の湿った匂い。 足早に行き過ぎる人々。 それはやがて、轟音を伴う水の弾幕に変わる。 叩き付ける雨、雨、雨。 街が人が、車が、街路樹が、分け隔て無く濡れてゆく…。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!