#01 君とすれ違う

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 何だよその顔。何ニヤけてんだよこのエロ坊主。だけどホント悪い。俺にはその気はない。今は一刻も早くここを出たいんだ。そんな思いを精一杯に込めて僕もニヤけ返しながらシゲの肩をポンと掴む。向かい合ってお互いの肩に手を乗せ合った変なタンブリングみたいなポーズに二人でニヤける。そして僕は再び走り出した。 「おいマヒロ!」  振り向かないまま後方に向けて手を挙げ、そして階段を一段飛ばしで駆け下りる。靴を履き替えるのももどかしくてダッシュで正門から飛び出す。うわぁこの瞬間俺青春してるなぁなんて思いながらまた一人でニヤけてしまった。  僕は今このためだけに生きている。待ちに待った時間。これからが僕の本当の時間だ。  あのコに会いに行くんだ。 -------------------------------------------------------------------------------
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