26人が本棚に入れています
本棚に追加
「…お母様は無事なのかな?」
セーラは「分からない……」と首を横に振った。
「でも…私たちが城から逃げなければ…その間は、大丈夫だと思う」
「そうだね…。ねぇ…セーラ」
「……なぁに?」
「えっと…その~……お母様が拐われる時の事を……詳しく教えて欲しいの」
「えっ?まさか忘れちゃったの!?」
そう……俺はサラと入れ代わるまで、この世界で何が起きたのか 全く知らないのだ。
「まぁ…お姉ちゃんは、あの後ショックで倒れちゃったから…無理ないか」
「うっ、うん……ごめんね?」
セーラは「ふぅ…」と溜め息を吐いた。
「…別に構わないよ。私たちは、一緒にダンスとピアノのお稽古をしてたんだけど―――」
それはまだ 明るい午後の出来事だった。
最初のコメントを投稿しよう!