第1話

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「…お母様は無事なのかな?」 セーラは「分からない……」と首を横に振った。 「でも…私たちが城から逃げなければ…その間は、大丈夫だと思う」 「そうだね…。ねぇ…セーラ」 「……なぁに?」 「えっと…その~……お母様が拐われる時の事を……詳しく教えて欲しいの」 「えっ?まさか忘れちゃったの!?」 そう……俺はサラと入れ代わるまで、この世界で何が起きたのか 全く知らないのだ。 「まぁ…お姉ちゃんは、あの後ショックで倒れちゃったから…無理ないか」 「うっ、うん……ごめんね?」 セーラは「ふぅ…」と溜め息を吐いた。 「…別に構わないよ。私たちは、一緒にダンスとピアノのお稽古をしてたんだけど―――」 それはまだ 明るい午後の出来事だった。
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