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サラがピアノを弾き、そのピアノの演奏に合わせて セーラがダンスを踊っていた。
誰が見ても 双子の息はピッタリだった。
「……どうかしら?」
「お見事です セーラ様」
「うん、上手よ セーラ!!」
「ありがとう トマス、お姉ちゃん!!」
トマスとは、二人の執事だ。
「サラ様も ピアノお上手でした」
「うん、上手よ お姉ちゃん!!」
「あら…嬉しいわ♪ ありがとう」
三人は顔を見合わせて ニッコリと笑った。
「…そろそろ休憩しない?」
「そうね、お茶にしましょう。トマス、お茶の準備を―――」
―――ガシャーン!!!!
……きゃあぁぁ―――っ!!!!
「なっ…!?」「何!?」
突然 何かが割れる大きな音と、メイド達の悲鳴が聞こえた!!
「…姫様方!! 早くこちらへ!!」
「きゃっ!?」 「トッ…トマス!?」
危険を感じたトマスは、急いでサラとセーラを抱えて 隠し扉の奥へ隠した。
「イタタ……セーラ、大丈夫?」
「うん、平気。お姉ちゃん…ここって――」
……そこは、サラとセーラが幼い頃 よく隠れんぼする時に使う場所だった。
「トマスったら…一体どうしたのかしら?」
「(シーッ…何か聞こえるわ―――)」
隠し扉の向こう側から 話し声が聞こえてきた……。
「姫は何処だ……姫を出せ!!」
「この部屋には居りません」
「チッ……お前、何処へ隠した!? 早く言わないと―――」
「…貴方達ッ、一体何者ですか!?」
「イヴ様!?」
「(……お母様の声――?)」
「我々は魔王様の命令でここへ来た……さぁ、早く姫を出せ!!」
「―――姫は今 出掛けています」
「……何処へだ?」
「それは……知りません」
「何……?母親なのに 娘の行き先を知らないだと?」
「母親にでも 知らない事は沢山あるものですよ」
「ム……」
「…信じられませんか?では姫の代わりに 私を連れて行き、人質にしなさい」
「…イヴ様!?」「……ッ!!」
扉から飛び出そうとするセーラを、
サラは「ダメよ!!」と引き止めた。
「ふん……良いだろう。女王を魔王様の元へ連れて行け!!」
「……はっ!!」
「(トマス…娘達の事をよろしくお願いします)」
「(……お任せください)」
「(お母様……!!)」
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