第5話

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サタンは 気を失っている部下を抱え ルシアの部屋を出た。 「サッ…サタン様!!」 「私達が運びますから!!」 「……いや、これは私の失態だ。私に運ばせてくれ―――」 「サタン様……」 「…………」 いつからだろうか? 母上がおかしくなったのは……。 父上がお亡くなりになってから? それとも……兄上がお亡くなりになってから? 母上は ボクが「立派な魔王になる為に」と一生懸命だけれど……。 ボクは魔王になんてなりたくない。本当は人間になりたかったんだ……。 「………うっ」 「ハッ…!! 目が覚めたか?」 「サタン様……」 「すまないな……私のせいで……」 「いいえ…サタン様のせいではありません……!!」 私が謝っても 部下は皆 「サタン様は悪くない」と言うのだな……。 「……今日はもう休んで良いぞ」 「し…しかし―――」 「その怪我で 何が出来ると言うんだ?」 「…も…申し訳ありません」 私がもっとしっかりしないと 部下に迷惑が掛かるな……。 「……サタン様?」 「……何でもない。歩けるか?」 「はい…もう大丈夫です」 “サタン……” 「(サラ……?)」 サラの声が聞こえた気がして…急に会いたくなった。 サラは無事だろうか……?
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