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 「その話、何回も聞いたよ〜」  嘆く永遠に向けて、私は微笑む。  「ふふ。何回も聞いてほしいの」  そんな雑談を続けていると、あっという間に中等部の校門に到着した。  守崎から鞄を受け取る。  なんとなく彼の顔が赤いのは気のせいかしら、ね。  「いってらっしゃいませ」  そうして守崎はしっかり90°の角度で礼をした。永遠と共に中等部の敷地に足を踏み入れる。が、数歩歩いたところで、振り返った。  「ねぇ、守崎」  今はもうあどけない装いから一転し、スーツ姿が板に付いた執事に向けて声を掛ける。  「どうなさいましたか、桜子お嬢様」  「私、この傘の持ち主に再び出会えた時に伝える言葉はもう決めてあるのよ」  一瞬、頬の一部がピクリと動いた。しかし、平然とした顔でそうですか、と気にしていないように振る舞うあたりは成長したと判断するべきかもしれない。  その言葉はね、と前置きし、心の中で呼び掛けた。  ねぇ、守崎  「『初めて会った時から好きだったの』」
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