黄色い傘を翻す

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 ご友人は衝撃で若干ズレてしまった眼鏡を正した後、両手の掌をこちらに向けて激しく振った。 「全然、全然! 大丈夫です!! 寧ろこちらの方こそありがとうございました」  ペコリと頭を下げるご友人に向けていつの間にか近くまで歩み寄っていたお嬢様が,永遠と呼ぶ。 「守崎が事前に動いていなかったら,また療養室のお世話になっていたかもしれないわね」 「うう……毎回毎回ありがとうございます……」  再び頭を下げたご友人に向かって,お気になさらずと声を掛けた。  出会い頭に躓くご友人を支えることが、もはやルーティーンと化している。そう認識せざるを得ないほど、ご友人は天・・・・・・マイペースなお方だ。
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