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……そう、この傘の本来はお嬢様本人の物ではない。正確には、お嬢様は借りた傘をずっと所持している状況なのだ。
「9歳の時、あなたに初めて会った時は、絶対にあなただと思っていたけれど、あなたは違うって否定していたものね」
尋問のような口調に、思わず語尾がしりすぼみになってしまう。
「……13歳になるまでは、使用人の関係する場所以外に入ることを禁じられていましたので……」
「ふーん……」
じっと冷たい視線を送られる。思わず視線を逸らしてしまいたくなるが、グッと堪える。
自分の言っていることは間違いではないのだ。
……お嬢様に伝えていないことはあるだけで。
まぁいいわ、と区切り、お嬢様は話を変えた。
「今日は生徒会の集まりがあるから遅くなるわ。終わり次第連絡するから、その後に中等部の校門に迎えに来てちょうだい。高等部の授業が終わってからは図書室にでもいて」
「かしこまりました」
そんな会話をしていた時、背後の遠くの方から声が聞こえた。
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