第7話 自分で上げすぎたハードル

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「雪乃、どうかしたか?」 「え?」 「固まってる」 「えっと。あっ!あの… なんか食べますか?お腹空いてません?」 腰を浮かしかけた私の腕を眞鍋さんが掴んで座らせる。 おどおどした私の目を見て、眞鍋さんがゆっくり首を横に振る。 「食べた」 「じゃあ、な、なんか飲みますか?」 もう一度立ち上がりそうになった私の肩を柔らかく掴んで 「ジャスミンティーがある」 眞鍋さんは少し私を窺うようにして顔を傾け た。 「じゃあ、なんか…」 言い終わらないうちに私の唇は、スッと近づいてきた眞鍋さんに奪われていた。 触れるだけの唇が、徐々に眞鍋さんの唇に挟まれたり、ほんの少し吸われたりしていく。 私の開いた口の中に眞鍋さんの舌が入り込んでくる。 歯列をなぞられ 体の芯が熱くなる。 絡みつかれても舌を どうしたらいいか彷徨わせ戸惑っていると、眞鍋さんの舌先が私の舌を責めてくる。 息も出来ないくらいに唇を舌を求められて 必死になってキスに応じた。 眞鍋さんに追いつこうと夢中になった。 「んっ……ん…あっ」 そのうちに体の力が抜けていく。 必死になっていた思考が何も考えていられなくなった。 熱くなり、眞鍋さんのキスを 受けとめるだけで 理性を失いそうになる。 眞鍋さん……。 もっと、もっと。 沢山キスをしてほしい。 私を眞鍋さんで埋め尽くしてほしい。 何も考えていられないくらいに 私を眞鍋さんで 眞鍋さんだけで満たしてほしい。
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