第16話 必要な本能と理性

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やがて… 本能の おもむくままに 沢木くんの舌を 受け入れてしまった後は 熱っぽく 見つめてくる艶のある沢木くんを 心から愛おしいと感じた。 色っぽい沢木くんの瞳に 完璧にやられて 私の中の欲が どんどん出てきていた。 もっと私だけを見て。 沢木くん、私だけを 愛して。 歯列をなぞる沢木くんの舌先に 我慢できずに ため息まじりの吐息が出てしまう。 「……っ……ん」 「雪乃、愛してる」 準備なんか どうでもいい。 本来、女は こうあるべきだったんだ。 眞鍋さんとの時は、色々気にして 気にしすぎて 準備に時間をかけすぎていた。 ランジェリーがどうの、 身体がどうのと 準備すればするほど、 気にしすぎて 臆病になっていた。   私の全てを受け入れてくれる 沢木くんのことを 全面的に信じている。 今の私は、 夢中だった。   何も考えていられないくらいに 沢木くんを求めていた。 沢木くんの首に手をまわし 沢木くんの唇を ひたすら求めていた。 もっと、 もっと……。 どうやら、 沢木くんのキスは 蜜の味みたい。 甘くて とろけて やめたくない。 どうやら、 世に聞く これが相性って奴のようだ。 私と沢木くんの相性が いいっぽい。 キスだけで こんなに感じられる。 そこから、どういう順序かわからないが そんなことも考えている暇がないほど 私は沢木くんのキスを全身に 受けていた。 全く私は いつ、裸になったんだか…… 沢木くんの優しい心も 沢木くんの均整のとれた体も 全てが有り難いし愛しくてたまらない。 そう…… 沢木くんなら 私の全てを受け止めてくれるような 気がして 私は全てを安心して 心も身体も無防備に 委ねたのだ。 怖くなかった。 だって沢木くんだから。 沢木くんの唇が 私のお腹にキスをおとした。 「恥ずかしいよ…沢木くん」 「可愛いから大丈夫。 俺に雪乃の全てを見せて。 俺は絶対に後悔させないから」 また出た。 沢木くんの自信過剰発言。 でも、そのビックな発言が 今は私を楽にさせてくれる。 ダメな所も弱い所も だらしない所も 体も含めて みんな…… 沢木くんなら きっと 間違いなく 愛してくれる。 こんな不甲斐ない私を 守ってくれる。 私の下腹部にまで キスをしてくれて 優しくゆっくり キスを落としながら ランジェリーを 脱がせてくれた。 蜜の味のキス。 それ以上の 気持ちの良くなることも たっぷり時間をかけて してくれて……。 全てが蕩けそう。 このまま ずっと 愛されていられたら…… すっかりだらしない顔をしていそうな 私に 愛情たっぷりなキスしてくれる。 「愛してる」 待っていた言葉もくれた。 相手が沢木くんだと 不安になりようがない。 私は、沢木くんに全てを 委ねていた。 沢木くんの背中は すっかり汗ばんでいる。 私も沢木くん以上に 全身が熱く火照ったようになっていく。 「雪乃……いい?」 私は こくりと頷く。   沢木くんの体と 私の体が つながる瞬間に 「愛してる、龍」 すんなり 言えた。 伝えたかった言葉。 大きな瞳を更に見開いた沢木くん。 「…ずるいな、雪乃。こんな時に……んっ……破壊力半端ない」 沢木くんが、私を愛してくれる。 これから私も沢木くんの愛に 負けないくらいの愛で応えたい。 軋むベッドの上 沢木くんの優しさと愛が 清潔なシーツと布団が  沢木くんの柑橘系の 爽やかな香りが 私の全てを包み込む。 愛されるって こういうことか。 高揚した顔を少しだけ、 辛そうに歪めて 沢木くんは天井を仰いだ。 沢木くんの全てを 肌に感じ 体に 心に 沢山の愛を受けた。 沢木くんの汗と私の汗が 混ざり合う。 私からも沢木くんへ 何度となくキスをした。 全てが 私の中で感度を増していく。 こんな風になるとは 昨日まで思わなかった。   こうなるのは 時期尚早だった? でも、不思議と後悔の気持ちは 全くない。 むしろ、嬉しいだけ。 沢木くんの愛に 私は応え   彼ならば 受け入れてくれると  信じた。 そして……   今夜 私は 沢木くんの心も身体を 滞りなく ……受け入れたのだ。 (^^)人(^^) 隣に横になっている沢木くん。 沢木くんの長い指先が 私の頬を優しく撫でる。 「雪乃、ありがとう」 沢木くんの顔を見つめて 私も沢木くんの頬に手を当てる。 沢木くん、優しくキスして。 そして、ハグして。 声に出さず思って見ていただけなのに 沢木くんの腕が伸びてきて 軽くキスされ 抱きしめられた。 わたし、 今すごく満たされてる。 なんか とても幸せ。
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