第1話 シトラスな秘薬

1/9
5064人が本棚に入れています
本棚に追加
/392

第1話 シトラスな秘薬

今日は、先輩社員の結婚披露パーティーだ。ジミ婚やスマ婚が流行る今時にしては珍しく、横浜にある高級なホテルで盛大に行われていた。 私は自分の着ているブラックのミニ丈ワンピースの短い裾を下に少しだけ引っ張ってみた。 普段、着慣れないフォーマルなワンピースは、なんだかやけに気恥ずかしい感じがする。 「のびる訳ないか……」 化粧室を出て、高級そうな絨毯が敷き詰められた廊下をぎこちなく歩いてロビーへと戻っていく。 履きなれない高いヒールの靴は、かかとが靴擦れして既にかなり痛い状態だった。 ふと、足元を見てから顔を上げた視線の先に、会社の先輩社員の眞鍋さんが喫煙所で一人、窓の外を見ながらタバコをふかしているのが見えた。 (眞鍋さんってこうしてみると……やっぱりイケメン) 私の存在に気が付いた様子の眞鍋さんと目が合った。
/392

最初のコメントを投稿しよう!