夏の始まり

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短大に入学して、早くも3ヶ月を過ぎようとしていた。 季節は夏の始まりだ。 あと2週間で夏休みも始まろうとしている。 だけど、講義の課題は山積みで。 夏休みまでに提出というレポートの山。 ちいちゃんとお昼休みに食堂で、2人ため息をつく。 「課題、どーする??」 「もぅー!!もうすぐ夏休みなのにぃ!!」 ちいちゃんはふくれた顔で答えた。 夏休みが終わればすぐ前期の試験が始まる。 ちいちゃんは、コスメストアでバイトを始めて2ヶ月になる。 ちいちゃん念願のコスメショップで、バイトが決まり、週3のペースで楽しく働いている。 ちいちゃんは毎日でも働きたい!って言ってるけれど、渚がストップをかけたみたい。 渚とは、部活の帰りと合わせたりして、なんだかんだ毎日会っているみたいで、ラブラブな話を毎日聞く。 かく言う私も、駅前の大型書店でアルバイトを始めて1ヶ月が過ぎたところだ。 バイトしたいとは思っていたけど、なかなかすぐには見つからず。 たまたま、先生と行った書店でアルバイト募集の広告を見つけて、すぐ応募したんだ。 本屋さんなら、先生もよく来るし。 もしかしたら、会えるかもしれないなぁ、 なんて欲もでてきて。 運良く、バイトはトントン拍子に決まって、夕方5時から閉店の9時まで、本屋さんでアルバイトを始めた。 私も平日限定で、週3日ペースで働くことを希望した。 土日は先生に会いたいしなぁ。 一ヶ月経つけれど、バイトはなかなか慣れない。 本屋さんって、そんなに大変なイメージが無かったんだけど、けっこう体力勝負なところもあって。 気楽に働けるかななんて思っていたのが間違いだったみたい。 重い本をカートに乗せて運ぶ作業に、レジ打ち作業。 そして、本の仕分けと、補充。 色々覚える事があって、大変だ。 そんな毎日でも、先生との時間はとても大切にしている。 会える時には、ご飯を食べに行ったり、先生の家に遊びに行ったり。 付き合いは順調だ。 土日も出かけたりする事が増えてきていて、 普通のカップルのような関係に近づいているのかなぁ、なんて最近思うようにもなった。 会うたびにドキドキする気持ちは変わらないけれど、会うたびに幸せだなぁと思う。 短大に入って、何かが劇的に変わることもなく、平和な日々を送っているんだけれど、 目の前の課題の山を見ると、うなだれてしまう。 「バイトもあるし、こんな課題いっぱい出されてもできないよー!!!」 ちいちゃんは半泣きになっている。 短大生は、遊んでられる訳もなく。 バイトに勉強に、恋愛に、、と、短大生も色々大変なのだ。 短大に入ったら、弓道部に入りたいなんて考えていたけれど。 うちの短大では、単体の弓道部というものが無いらしく、弓道がやりたいのなら、近くの私立大学と合同のサークルがあるという話で。 短大で出来た友達のさくらちゃんも、弓道を続けたいって言っていたから、2人で大学のサークルの見学にも行ったんだ。 だけど、その場は弓道をやると言うより、飲み会が主体の雰囲気で。 さくらちゃんは、「面白くなさそう。彼に怒られそうだし。」と、すぐに断った。 私も先生に相談したんだけど、、、。 「サークルなんて飲んで騒ぐだけだろ。弓道なんかしねぇだろ。そんなのやめろ」 と言われてしまい、結局断ったんだ。 弓が引きたくなった時には、ちいちゃんも誘って、さくらちゃんと市営の弓道場に行ったり、高校の弓道部に顔を出したりしていて、それはそれで楽しく過ごしている。 「勉強しないとねぇ。」 現実を見ると、遊んでばかりもいられない。 「そーだけどぉ!!でも渚とデートもしたいし!!。夏が来るんだよ!?!?。楽しいこといっぱいあるのにー!!。勉強なんてしたくないよ!」 ちいちゃんの言うことも確かにわかる。 春はゴールデンウィークの連休があって、先生と楽しく過ごして、沢山の思い出ができた。 牧場へ馬を見に行ったり、遠出して桜を見に行ったり。 ちいちゃんと、勉強漬けの浩介も連れ出して、デイキャンプもしたんだっけ。 あっという間に過ぎた春。 夏は夏でイベントが沢山あるもんなぁ。 花火にお祭り、海も行きたい。 先生と行きたいなぁ。 行けるかなぁ。 これから始まる夏。 楽しい事を考えたいけれど、、、。 目の前の課題の山にがっくり肩を落とす私たち。 現実も見なきゃ、、ね。
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