アカ

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アカ

「やつはアカだ」  静かに彼は言った。 「だから気をつけろ、話もするな」  唐突な言葉に僕は息を呑んだ。 「いったい何があったんだ」 「あいつが普段から言ったりやったりしてることを見ていればわかるじゃないか」  でもあいつのことを僕たちは、手を叩いてほめはやしたりしていたはずだ。おどけた態度にも大笑いしていたはずだ。 「あいつは裏切り者だ。許すことはできない」 「でも、いまさらそんなこと言ったって、お前だって大笑いしていたはずだぜ」 「じゃあ、お前は許すことができるのかい、裏切り者を」 「でも、おまえだって応援していたはずだぜ」 「そう、あいつはみんなをだましていたんだ。分るだろ、それがどんなに重い問題なのか」 「いま急に始まったことじゃなじゃないか、あいつはみんなが嫌っていた、いやそれすらも気づいていなかったあいのことが危険だとみんなにいちはやく伝えたんじゃないか」 「そう、ふざけてね、ふまじめにね」 「あいつだけじゃないさ、男前で人気者もみんなそうさ、僕たちをだましていたんだよ」 「でも」 「お前も、仲間だって言われるぞ」 「えっ、なんて」 「あいつも、アカ、だって。……いや、黙っていてあげる。でも気をつけろ」
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