南くん

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南くん

 放課後、校門の前に行くと、南くんが一足早く待っていた。彼に近寄ると、眩しい笑顔を私に向ける。思わず顔を背けてしまう。  バス停に向かいながら、南くんは私の仕事について、質問を投げかけてきた。 「どのくらいの頻度で手伝ってるの?」  私が「朝は毎日。放課後はお母さんとシフト制」と答えると、「そんなに」と、彼は驚いた表情を浮かべた。 「僕は週三が限界だったな。手伝いっていっても掃除だけだけど」 「私もそんな感じだけど」  ちょうど来ていたバスに飛び乗った。私たちは二人掛けの席に座り、バスに揺られた。南くんと並んで登下校するとは思わなかった。お気に入りの鏡が壊れただけで、幸せと不幸せが相殺されるのか、疑わしかった。僅差で幸せの方が勝っている気がする。悪戯っぽく笑う小悪魔が見え、一つため息をついた。  私たちはバスを降り、老舗店やチェーン店が混在する商店街を外れ、住宅街に入った。「こんなところに喫茶店があるんだね」と南くんは落ち着きなく辺りを見渡した。  
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