第15話 さねまさ

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「知っているなら、他の人を見てもいいんじゃないんですか?」 にっこりと笑って、品川さんがそう言った。 「他の人? なぜ?」 「だって、実雅さん特に条件出されなかったんでしょう? わざわざ彼女じゃなくても」 「わざわざ、彼女だからこそ、マッチングしたのですが」 僕がそう言うと、彼女はまた、下唇を軽く噛んだ。 「……じゃあ、実雅さんは……彼女の事が?」 「ええ、僕は、彼女が好きです」 「その事を彼女はご存知なんですか?」 「ええ、勿論、彼女にも伝えています」 …… 暫く沈黙が続いた。 話が無いのなら、帰りたい。 雅実に連絡も取りたい。 まだ、店にいるなら…… 「実雅さん、モテるけど、女性の扱いとか、女心を全然分かってないですよね」 以前と同じ台詞を品川さんが言った。 「確かに、そうですね」 僕もそう、答えた。 確かに、雅実の元気が無くても、どうしたらいいのか どころか、目の前の品川さんが話そうとしている意図も全く分からなかった。 もっとも、品川さんに関しては分からなくても……気にもならない。 早く帰りたい。この場を そうしか、思わない僕は…… やっぱり極端に欠如しているだろう。 コミュニケーション能力というものが。
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