第2話 まさみ

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何はともあれ、待ち合わせ場所へと向かった。 相変わらず、紳士的に出迎えてくれる。 うーん……何がダメなんだろう、この人の。 はっ、いけない。ダメな所を探すなんて。 きっと、今までは……縁がなかっただけ。 いや、一回目だっけか。 「ありがとうございます。……今日は早々にお誘い頂いて」 「いえ、色々面倒臭い事は苦手で。早々に済ませたかったもので」 ……ん? その時 【ブーブー】 映画が始まる合図のような音。 私達の合体0が田中さんの方を向いた。 彼はそこにチラリと視線を落とすと 「……早々に会いたかったもので」 そう言った。 「いや、今……面倒臭……」 「会いたかったんです。ダメですか? 」 そう言って、ずいっと私に顔を近づけた。 「いえ、まぁ、嬉しいです」 全然嬉しくないのに、近い距離のイケメン顔につられてそう言った。 そこからも、カチャカチャと少しの食事音だけ。 今日は0もブザー音を鳴らしたっきり、静かだ。 「えっと……何か話して……」 「あなたと話すことなど、あると思いますか? 」 ……ん? 【ブーブー】 再びの警告音。 チラリと0に視線を落とす田中さん。 「すみません。口下手で。何を話していいか」 「いや、今……」 「緊張、してしまって」 そう言ってまた少し私に顔を近づけた。 わっ、イケメッ……こっちが緊張するわ。 ここから、食事が終わるまで、何度か警告音が鳴った。 いや、彼が話す度に……と言った方がいいのかもしれない。 だけど、この日も“N0”は出さなかった。 お互いに。
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