第19話 まさみ

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ヤングコーン!! 繋いだ手を振りほどこうとぶんぶん振ったけれど、離して貰えず 「そんなに食べたい? じゃあ、はい」 またしても、目の前にヤングコーン 彼の腕をガシッと左手で固定し フォークごと奪い取ろうと格闘する。 【どんだけ、ヤングコーン好きやねん】 ついに0にそう言われ 【アーンせぇ、アーン。何なら俺がしたる】 「お前は、手も口も無い!」 田中さんが、珍しく素早く0に言い返す。 【で、どんだけアーンさせたいねん、お前は】 「違うね、俺は手を離したくないだけだ」 あ、アーンか。 そうか、そらそうか。 手を離したくないとなれば、そうか。 でもフォークなら左手でもいけそうな。 あ、チャンス! 田中さんが0に気を取られているうちに彼の手のヤングコーンを口に入れた。 「美味しい……」 「そんなに好きなんだ」 ……ここまでしといて何だけど そこまで好きでもなかったんだけど… 「うん」 そう答えるしかなかった。 「じゃ、どうぞ。最後の1個」 彼が目の前に差し出したヤングコーンに口を開けた。 たった今、ヤングコーンが特別な食べ物になった気がする。 「僕も、好きになったな。美味しいよね」 この前と同じ……あの川辺で見た時と同じように彼は微笑んだ。
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