第19話 まさみ

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【感情的になるのは、良くない】 ……そうだけど。そうなんだけど。 ぐいっとワインを煽る。 田中さんも、黙ってワインを口に運んだ。 お互い……ただワインだけを飲む時間が続く。 【ワインなら、左手でも飲めるな。手繋いでくれる?】 「「はい?」」 【手や!】 「「はい……」」 0に言われるまま、田中さんが私の手を取り、私も軽く指を開き、それに彼が指を絡めた。 2.3度打ち合わされた長い睫毛が止まり 少し下がった眉とへの字の口 ゆっくりと口角があげられると、目元を緩ませた。 「……いいもんだね」 彼の手から私の手へと優しい熱が伝わる。 それだけでもなく…… 彼の気持ちも手から……伝わる気がした。 【手を繋ぐとか、ふれあいながら喧嘩は出来へんもんや。気持ちが和らぐからな。じゃあ、そろそろ、雅実の話を聞こうか】 田中さんが、私が話し出すのを待って、 手に少しだけ力を込めた。
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