第20話 まさみ

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「僕が悪いのは、分かる。だけど……どうしてそう……」 少し考える素振りをした後に 「僕はあなたが好きです」 いつかと同じセリフ。 それから……いつかとは違う……目。 だけどあの頃よりずっと悲しそうな目でそう言った。 「……伝えたはずで……伝わってると思ってた」 「変わったのかなって……」 「そんなに簡単に変わるなら、結婚なんて出来ないね。こんな短い期間で変わると……思われてるんだ」 ……。 申し訳なってくるほどの彼の顔に……胸は痛んだけれど 「……私も、あなたから何も言われてない事を信じたのは馬鹿でしたが、女性と二人でいたら誤解もするし、彼女は若くて、とても可愛い人だし。私に聞かれたくない話を、彼女と二人でするようなことや、私との事を彼女に話すのは……気分が良くないです」 「……彼女から何か言われたと?」 『年老いたブス』と…… 『結婚に焦ってる』と…… 『分不相応』と…… あと、なんだっけ? 流石に自分からは言えないな…… 「それに、最近、連絡もなかったし、彼女と一緒にいる説明もなかったし……マッチング中なのか、付き合ってるのかも……よく分からなくなって……」 簡単に言うと 他人に言われた事と自分でもやもやした事で もう駄目だって、なった。 田中さんは何もしてない。 少なくとも本人はそう思っている以上、何もないのと同じ。 この会わない間…… 田中さんにとっては、何も無かった。 そして、今日私から“NO”を言い渡されている状況。 あのロードバイクの日からすれば 彼は順調だと思っての、この状況ならば…… 彼は今、混乱の中なのだろうか。
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