第20話 まさみ

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そうだった。 ……前回、彼がなぜロードバイクを選んだか。 それは“怒らせたくなかった”からだ 『笑ってくれたらいいなって。いつも、怒らせるから』 そう言った彼を思い出す。 「ずっと……自分の事ばかりだったかなって……考えたら分からなくなったんだ。そしたら、連絡も出来なくなってしまって……」 「……私も、ごめんなさい」 「……えっと、品川さんに……興味があるんだったら……」 「……いや、品川さんに興味はないです。ただ、あなたといたのが……嫌だった」 「そうか……なら、今度から他の女性と要るときは説明したらいい? それとも、事前に報告する? ……他の女性とは接しない方がいい? ……どうすればいい?」 ……微っ妙ーに、ズレてるな。 他の女性に近寄らないとか、何かと自意識過剰になるだろうし、いや、彼くらいのイケメンだとそうもならないのか…… 「……大丈夫。ただ……手は繋がないで。私以外とは」 繋いだままの手に少し力を入れた。 彼も握り返してくれる。 「勿論」 近い距離。 優しい目に、ギザギザしてた心が…… まあるく膨らんだ。
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