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【えー……お忘れかもしれませんが、俺もいますー。さて、実雅くん】
「何だ」
【雅実、泣いたてたけど、何で?】
「……悲しいからだろう」
「腹立ちからも泣けます」
そう付け加えた。
「そのパターンもあるらしい。ともかく、そういうことだ」
田中さんが0にそう言った。
【何に腹立って、何に悲しいのか、実雅くん】
「俺が、心変わりしたと思ったから。このマッチングに“NO”を出す……と……」
【気づいた?】
「……まぁ……そうだな」
【つまり?】
「だから、“少なからず”僕の事は好きだからだろう」
まるで当たり前だろうとでも言うように、彼はそう言った。
『キスをしたいと思うのは、少なからず相手の事を、す、好きなんだと思います!!』
“少なからず”好きだから。
前回そう言った。今のキスする確認もこれで……
えっと、えっと、えっと…
『0が分かったとしても。雅実の口から言って欲しい。僕を……好きになれば。自分の耳で、ちゃんと聞きたいんだ』
……0にはきっと……分かってる。
だけど、私の口から言わないと駄目なんだ。
“少なからず”の部分が……
もう外れているって事を。
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