第21話 まさみ

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【えー……お忘れかもしれませんが、俺もいますー。さて、実雅くん】 「何だ」 【雅実、泣いたてたけど、何で?】 「……悲しいからだろう」 「腹立ちからも泣けます」 そう付け加えた。 「そのパターンもあるらしい。ともかく、そういうことだ」 田中さんが0にそう言った。 【何に腹立って、何に悲しいのか、実雅くん】 「俺が、心変わりしたと思ったから。このマッチングに“NO”を出す……と……」 【気づいた?】 「……まぁ……そうだな」 【つまり?】 「だから、“少なからず”僕の事は好きだからだろう」 まるで当たり前だろうとでも言うように、彼はそう言った。 『キスをしたいと思うのは、少なからず相手の事を、す、好きなんだと思います!!』 “少なからず”好きだから。 前回そう言った。今のキスする確認もこれで…… えっと、えっと、えっと… 『0が分かったとしても。雅実の口から言って欲しい。僕を……好きになれば。自分の耳で、ちゃんと聞きたいんだ』 ……0にはきっと……分かってる。 だけど、私の口から言わないと駄目なんだ。 “少なからず”の部分が…… もう外れているって事を。
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