第21話 まさみ

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意を決して口を開きかけた時 【雅実、あっちのイケメン、会うんか?】 ……え、ああ。 忘れてた。 「会わないよ」 チラリと田中さんの方を見てそう言った。 【うーん……会ってみたらどうや?】 「え、いや、ちょ!? なんで!?」 0はもう、分かってるはずだ。 なのに、なぜ? 【実雅以外にも“イケメン”はおる。それに……それくらいで駄目になるなら、成婚は無理やで】 ……まぁ、そう、かな。 チラリともう一度田中さんの方を見ると 「会えば、何か分かるかもしれないね」 田中さんが無表情でそう言った。 「でも……」 「“少なからず”顔は……何年も、誰も当てはまらなかったんだろ? ようやく俺が当てはまって、その人も当てはまった。会って、みたら?」 【比べる対象がいるって、分かりやすいもんやで。向こうさんにも、マッチング中ってことは伝わる。向こうにも会うかどうかの選択肢はあるし、返事しときます】 「……え、はい」 それきり、田中さんは黙ってしまった。 だけど、0がそう言う限り何か考えがあるのかもしれない。 折角の決心が萎み、微妙な空気が残ったけれど 【OK、早速今週、会ってみて下さい。……それでまた報告してやって、実雅に】 「……はい」 何この、真正面で浮気するような、後ろめたさ。 「……送る」 そう言って田中さんが立ち上がった。 繋ぐ手が、いつもより少し……強かった。
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