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【今日の待ち合わせはここです】
そう言って壁に店のmapを映し出す。
【今年30歳……ああ、要らぬ情報でしたね、あなたには。実雅に負けず劣らずの“イケメン”です。以上!】
……何か嫌みなやつだぜ。
年上か。何となく少し背伸びしたような服装を選んでしまう。
【実雅に『行って来まーす! 』のメッセージでも、送りますか?】
「送らない!!」
何だ、その浮かれたような言い方は。
店に入ると、その人はまだ到着していなかった。
待ち合わせを5分ほど過ぎたあたりで
「申し訳ない、仕事が長引いて」
そう言って、一人の男性が私の前の席に着いた。
「いえ、お疲れ様です」
作り笑いをして、そう言った。
「実物の方が、ずっといいね」
彼はそう言って自然に微笑む。
……多分、耳まで赤い。
一気に顔が熱くなった。
彼もまた……“イケメン”だったから。
しかも、彼はそれを生かした“イケメン”だ
「まずは、少し……飲もうか。アルコールは?」
「大丈夫です」
「ああ、ここはね、美味しいのが……あ、ワイン行ける?」
「大丈夫です」
注文を終えると、彼は私に体を向けた。
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