第3話 まさみ

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「僕は、いつでも構いません結婚するのは。あなたは……そうですね、20代で子供を一人産んでおきたいなら、十月十日(とつきとおか)を考えると、後がない。20歳からですよね? 0を保持されているのは。そこから8年間、他には一人も居なかった。あなたの第一条件である“イケメン”は。今、僕を逃して、また8年探しますか? “イケメン”を」 【おらんやろね。40なるな】 話に入ってきた0を睨む コイツに目はないが。 「そういう解釈で、構いませんか? 」 「……気持ちがあるわけでは……」 ああ、たいした反論も出来ない。 「僕が一般的にイケメン(そう)かどうかは、知りません。だけど、あなたにとってイケメン(そう)なら、活用するまでです」 「イケメンが第一条件だった訳では。たまたま最初に言ってしまっただけで……結婚するには、遺伝子を考える上で多少は必要ですから」 白々しく、後付けの言い訳をする。 「対面では、条件の2番目以降に持ってくるらしいですよ、本当に譲れない条件は。体裁を気にしなくて良い0の前ではそれも必要ない。……つまり、それがあなたの本音でしょう? 」 「……。そうかも……しれません。けど、それだけでは……」 「これが“僕の顔”です」 「そうですね」 「また会って、頂けますね? 」 「……はい」 【あ、終わった? つか、名前ややこい。何とかならんか? 】 「それで、選んだくせに」 「僕の事は、実雅と」 「……はい」 「じゃあ、また連絡します雅実(まさみ)」 そう言って、最大の武器である顔面を私にギリギリまで近づけて、彼は微笑むとその場で解散となった。 顔もそうだし、不意に名前を呼び捨てにされたこともそうだし……くっそう。 だけど、この日も“N0”を出さなかった。 お互い……。
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