第12話 まさみ

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【あなたが、今から直ぐに成婚し、子供を100人産んでも、ゼロには何の報酬もありません。あなたが、ここでジメジメと家から出ずに湿っていても、ゼロに貰えるのは一定(バッテリー分)の電力だけ。つまり、ゼロは何も思いません。AIですからね】 と、横で文句を言われる。 そうでしょう、そうでしょう。 【お出かけになってはいかがでしょうか。 このままでは……数日でカビが生えることになります。カビが生えるまでの正確な日数をお出ししますか?】 「……結構です」 【結構より、結婚してください】 「うるさい! 親戚か!」 【AIです。あなたより、若い】 「え、若いの?」 【そりゃそうでしょう? 電化製品の30年モノなんて、骨董品】 「……そう……だけど……」 【人間の30年モノは……人生においては若輩者。ですが、結婚適齢期、もしくは、出産適齢期と考えた場合……】 「さ!どこ行こうかな」 そう言って、立ち上がった。 何事も適齢期というものがある。 分かってる、分かってる。 「私、まだ28だからね」 【“もう”という表現が正しいでしょう】 ……くっそ。
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