第12話 まさみ

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仕事帰り、田中さんとあの彼女と出会った店へ行こうとして、Uターンした。 何となく行きたくない。 また二人に会っても嫌だしな。 ……いや、でも……ハッキリさせないとな。 避けてても意味がない。 そう思っていたら…… 「雅実……さん?」 そう呼ばれて、振り向くと そこに彼女がいた。 ……だけど、幸い、彼女一人だ。 「お食事ですか?」 そう言われて、気づく。 飲食店の前のディスプレイを見ながらボーッとしてた事に。 「ええ、まぁ」 「ご一緒しても?」 ……えー……嫌だな。 返事をする前に、彼女は私をその店の中へと押した。 私より少し低い身長に、近い距離。 綺麗な肌に、気後れして目を逸らす。 席に着くなり、彼女は私をジロジロと見て 「実雅さんとマッチングしてると、お聞きしたもので……どんな方かと思ったら……」 彼女は口に軽く握った手を当ててクスリと笑った。 それから 「なーんだ」 そう言って、またクスリと笑った。 ざわっと心が波打った。 同時に恥ずかしくなった。顔が熱くなる。 それを見て、彼女はもう一度、クスリと笑った。
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