第14話 さねまさ

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「田中さん」 そう呼ばれて振り返った。 そこには見覚えがあるような、ないような女性。 ……記憶を辿る。 ああ、社内の人間か。 「何か?」 「私の事、覚えてくれてたんですね、嬉しい」 品川透子……だったかな。 「まぁ」 そう言った。 幸い、頭はいいんでね。 「お茶でもしませんか?」 「何の為に……」 「うふふ、実雅さんって、女性苦手ですよね?」 彼女の言葉は多少語弊がある。 僕が苦手なのは、“女性”じゃなくて“人間”だ。 ただ、なぜ彼女がそんな事を言ってくるのかは理解が出来なかった。 それこそが、“苦手”ということなのだろうか。 少しばかり、彼女に時間を作る事にした。 以前なら考えられなかったけれど。 コミュニケーション、それを学ぶ機会だと思うことにした。
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