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プロローグ
2xxx年
近未来といっていい時代の話だろうか。
日本の人口が1億人を下回って久しい。
むしろ、下降を辿る一方だ。
平均寿命の横這いから、僅かながらに伸びるのは医学の発達、生命に関わるテクノロジーの進化に寄るものに他ならない。
人手というものもAIの発達に寄りさほど問題視はされていない。
同僚がAI。家族がAI。その状況は、今や全く珍しいものではなかった。
ただ、どうしても神の域は超えられない。
人でなくてはならない。
人口を増やす。つまり、母体の確保。
合計特殊出生率(英:total fertility rate、TFR)とは、人口統計上の指標で、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示す。
この指標を出すに当たり……
いわゆる“出生率”と我々が呼んでいるもに当たる指標。
一概には言えないのかもしれないが
それは、単純に解釈するとしたら男女におけるカップルが2人子供を産んだとしたら、人口は横這い。1人以下で減少、3人以上で増加。そう、認識するとしよう。
どれだけテクノロジーが進化しようと変わらない事がある。
人は、人が産まなければならない。
産むことが可能である年齢も然り。
今や、0だ。
出生率0時代。
AI普及による、コミュニケーション不足。
ますます懸念されるのは、男女間においての育みではないだろうか。
国を挙げて、政府が乗り出したのは
いや、国だけに限らず、地球規模で……
AIによるマッチング。
つまり、AIが間に入った婚活だ。
結婚の意思のある者、もしくは“無い”以外の者はAIによりマッチングが開始される。
半ば強制的に政府より支給されるAI
出生率0の時代において政府が本気で取り組んだ男女の出会いを斡旋する、婚活。
その為だけに特化され、開発されたAI
通称0と呼ばれるそれはAI界におけるスペシャルエリート。
様々な機能が埋め込まれている。
常に、自ら考え、進化する。
限りなく人に近く果てしなく結果を追い求める。
成果は、まずまず……。
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