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side 凪
ティーパーティーの会場に向かうと「みきちゃん」を見つけた。
αに腕を掴まれている。
助けに行ったけど、顔色が悪い。
飲み物をもらおうと、少しそばを離れている間にも、別の奴に絡まれている。
色素の薄い髪と瞳。
首には黒いチョーカー。
制服姿にも色気を感じる。
惹かれないαはいないだろう。
優希さんから本を預かってきたことを話すと、笑顔になった。
「みき」と呼ぶ許しを得た。
俺のことは「凪」と呼んでくれる。
「凪」と呼ばれるだけで、こんなにも嬉しいなんて。
七夕の短冊に願い事を書いた。
「みんなが幸せになりますように」
みきはそう書いている。
「みんな」には俺も含むらしいが、俺の願い事は叶うのだろうか。
俺の思いは届くのだろうか。
テーブルいっぱいに並べられたデザートの前で、みきは困っている。
どうしたのか聞いてみると、全部食べてみたいけど、多分食べきれないから困っているそうだ。
食べ残すのは、作ってくれた人に失礼だから絶対だめだそうだ。
シェアしよう言ったら、すごく喜んでいる。
みきは一つ一つ、ゆっくり大切に食べていて可愛らしい。
みきの指を掴んだらひどく驚いている。
どうしても部屋に戻りたいそうなので送っていく。
みきは何も言わない。
俺も何も声をかけられない。
寮の前で抱きしめた。
みきはいい匂いで、体が熱くなる。
このままずっと、抱きしめたい。
俺だけのものにしたい。
俺は家に帰ると、想像の中でみきを何度も抱く。
熱い体はいつまでも火照る。
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